空に手を広げ ふりそそぐ光あつめて [旅]
昨年の旅の記憶の光景、続いては北海道です。
川面に見える白い物体は、白鳥の群れです。
この日は寒くて雨も降っていたので、みんな羽根の中に首をうずめたまま、じっとしていました。
ブレブレですが、鹿。
本当は周囲にも何匹かいたのですよ。群れで車道を横断するところでした。
北海道では、鹿と車の衝突事故は本当に多いそうで、いたるところに「鹿衝突注意!」「野生動物横断注意!」の標識を見かけました。時には、「○月○日、この付近で熊の目撃情報がありました」という、野生の熊への注意を喚起する看板も。
遠目でわかりにくいですが、今まさに飛び立とうとしているタンチョウヅルの群れ。
平原を助走したのち、スーーーーー…ッと流れに身を委ねるかのように風に乗り、その流れと一体になりながら、ゆっくりと力強く翼をはばたかせる。「滑空」という言葉がピタリと当てはまる、本当に美しい飛翔でした。
ちなみに、北海道には約1週間滞在したのですが、最初の2日間で、牛(ホルスタイン)、馬、キタキツネ、白鳥、鹿、アザラシ、タンチョウヅルの皆さんに遭遇しました。だ、大自然すぎるぞ、北海道…!
別海町名物、「別海ジャンボジョッキミルク」。
先日放送されたNHK「明日はどっちだ」にも、登場していましたね~。
別海町は全国の生乳生産量のおよそ7%を担っているほど、乳業の盛んな町です。町内のお店では、希望者には「食前酒」ならぬ「食前ミルク」を提供してくれるところもありますよ。
でもね、本当に味が濃いのに後味スッキリなんですよ!私は牛乳が好きなのですが、この時期はさらに拍車がかかり、何と、1リットルパックを、1日1本のペースで消費していました(笑)。やめられない止まらない、恐るべし、べつかいのミルク…。
中標津町にある、開陽台。
周囲に遮るものがなく根釧台地の広野が広がり、地平線が丸くみえることから「地球が丸く見える展望台」として知られています。
北海道の日没は本当に早くて、16時前にはほぼ真っ暗。郷に入れば郷に従え、ではありませんが、その土地ごとの暮らし方があるものだなぁと感じる経験を多くしました。
格子状防風林とは、北海道開拓が盛んに行われた明治から大正時代にかけて造林された格子状の植林地帯。
林の幅が180mに及ぶカラマツの防風林で作られており、最長距離約27km、総延長約648kmの巨大な格子状防風林として、2001年、北海道遺産に認定されました。
この雄大は光景は、なんと宇宙からも見えるのですって!2000年、スペースシャトルに搭乗した毛利衛さんは北海道東部の上空で、この格子状防風林のビデオ撮影に成功されたそうです。
すでに暮れていますが…。確かに田園の間に防風林が一定間隔を置きながら幾重にも存在している様子がわかります。
武佐岳。
根釧台地に昇る月。
開陽台にある、「幸せの鐘」。
…と、何枚も写真におさめましたが、いや~、とにかく寒かった!!
寒いというより、「冷たい」という感覚の方が近いかな?冷蔵庫の中にいるような気温の低さに加え、吹きすさぶ強風が!耳や指がちぎれそうになる冷たさでした…。
大地を照らす陽光は、それでも心強いものです。
雲の流れや形状も、ダイナミック…。
牧草地の彼方に昇る月。
* * *
そして、旅の終わり。
金色に輝く見事な夕日の中、帰ってまいりました。
夕陽に輝く、千葉の湾岸部。
金色の海路を進む船。
写真ではお伝えできないのがもどかしいですが、この時は夕陽の光によって、東京湾が見渡す限り黄金に輝いていたのですよ~!あまりの美しさに、涙が出そうになりました。
夕陽の光に包まれてたどりついた羽田空港。
遥か彼方には、富士山のシルエットも鮮やかに見えました。
今年は、いったいどんな景色に出会うことが出来るのでしょう…。
とにかく、温泉が素晴らしすぎた…。
ちいさな光が歩んだ道を照らす [旅]
昨年のことになりますが、旅の記憶に残った風景をご紹介します。まずは、宮崎県。
青島対岸の浜辺に立つ、幸せの黄色いポスト。
黄色いポストは全国数か所にありますが、宮崎県内ではこの1か所だけ。昨年7月に設置されたそうです。もちろん、郵送物を投函することできますよ~。
すぐ近くには、宮崎出身の歌人・若山牧水の歌碑もあります。
檳瑯樹(びろうじゅ)の古樹(ふるき)を想へその葉陰 海見て石に似る男をも
「檳瑯樹」とは、青島周辺に群生するヤシ科の亜熱帯性植物です。
浜辺の対岸には、青島。
かつて、一般の人々は青島へは渡ることが禁じられていたため、人々はこの対岸から島にあるお社に向かって祈願していたのだそうです。今では橋が出来て、誰でも渡ることができます。
橋を渡って、青島神社へお参りしました。
この門をくぐる右手前に、「玉の井」があります。
この井戸の前で、山幸彦と豊玉姫が出逢ったと語り伝えられています。
青木繁「わだつみのいろこの宮」(1907)
海に囲まれた青島ですが、この玉の井から湧き出る水は、不思議な事に全く塩分を含んでいないそうです。
玉の井では、「海積祓い(わだつみはらい」という祈願ができます。
人形(ひとがた)をした紙に願事をしたため、玉の井の水をたたえた甕の中に浮かべます。人知れず願事を唱えながらその神に水をかけて、その神が綺麗に溶けると願事が成就すると伝えられています。
拝殿
彦火火出見命(ヒコホホデミノミコト/山幸彦)・豊玉姫命(トヨタマヒメノミコト/山幸彦の妻)・塩筒大神(シオヅツノオオカミ/山幸彦をワダツミノミヤ行くことを進めた神様)の三祭神をおまつりしています。
夫婦の神様がおまつりされているということで、縁結びの神様として知られています。
島のほぼ中央に鎮座するのが、元宮(もとみや)。
まるでジャングルに迷い込んだかのような錯覚さえ覚える、深い深い森の向こうにひっそりとたたずんでいます。
この周辺では、土器なども発掘されており、かなり古い時代から祭祀が行われていたようです。
お参りを終えて、島内をぐるりとお散歩。
「鬼の洗濯板(洗濯岩)」と呼ばれる、ユニークな形状の岩が連なります。1934年に、国の天然指定記念物に認定されています。
はるか遠くに見えるのは、日向青島灯台。
数百万年かけて、日向灘の荒波が生みだした自然の造形。
*
市内へ戻り、宮崎神宮にもお参りしました。
二の鳥居近くにあるのは、ラクウショウ(落羽松)の古木。樹齢100年を越えているそうですよ。
この樹の下に来ると、何だかいつもホッとします。
参道。丁寧に掃き清められています。
鳥のさえずり、風に揺れる木々のざわめき、踏みしめる玉砂利の音、行き交う人々のひそやかな声などを聴きながらこの参道を歩くのも、好きな時間のひとつです。
青い空と、どこまでも伸びていきそうなヤシの木。
実はこれ、宮崎市内最大の目抜き通りのアーケードから撮影したんですよ。
どんな季節に訪れても、太陽の光があふれている場所。そんなイメージの強い宮崎です。
温泉がオススメです!!
わたしの写真は、わたしの今だ。 [旅]
JR肥薩線 嘉例川駅 [旅]
JR肥薩線の「嘉例川(かれいがわ)」駅は、1903(明治13)年の開業当時からの木造駅舎が今も残っており、「大隅横川」駅と並んで鹿児島県内最古の歴史を持っています。
なんと、今年で111年目を迎えるのですよ!すごいですねぇ・・・。
駅の待合室にも、レトロな木のベンチが並んでいます。
駅舎内には「駅ノート」が置いてあり、全国から訪れた旅人たちが思い出を書き留めています。
無人駅なので、駅構内への立ち入りは自由です。
手前に見えているのは、切符を回収するボックスです。
改札口も、窓口も、すべて木製。もちろん窓枠や柱も木製で、丹念に使い込まれた木のぬくもりを感じます。
肥薩線の列車は、約1時間に1本。
なんと、タイミング良く列車が到着しました~!!
Wiki先生によると、2013年の1日平均乗降人員は、75人だそうです。
この列車から降りてきたのは、ほとんどが高校生たち。軽やかな笑いをたてながら談笑する女子高生、つかず離れずの距離でベンチに座って、無言でゲームを始める男子学生…。
100年以上の歴史を感じさせる静けさをたたえた駅が、あっという間に若さあふれるにぎやかな空気に包まれました。
やはり、若い人たちの純粋な笑顔は、言葉には言い表せないエネルギーを秘めています。
彼ら、彼女らは数年後、数ヶ月後には、新しい環境へと旅立っていくのでしょう。思い通りにいかない時、自分の思いだけではままならない出来事に向き合った時、この駅で過ごした時間のことを思い出しては、故郷を懐かしく思う事でしょうね。
深い山間(やまあい)に、静かにたたずむ小さな駅。
でも、この駅で時間を過ごした人の心の中では、力強い、大きな存在として、きっといつまでも在る事でしょう。
ふとか山 ~桜島~ [旅]
晩秋のある晴れた日。
鹿児島にて、予想外に早く用事が済んでしまい、ぼ~っと桜島を眺めていた私は、ふと思い立ちました。
「そうだ、桜島に行こう。」
そんなわけで、やってまいりました~!
鹿児島中央駅から「水族館前」行きバスに乗ること約15分、鹿児島港に到着です。
隣接する「いおワールド かごしま水族館」にも足を伸ばしたいところですが、今回は時間がないのでスキップ。
ちなみに、かごしま水族館を訪れた時の記事は、コチラとコチラにあります。もう4年も前のことになるのですねぇ…。ちなみにこの時、リスのさとし君とツーショットを撮ってくれたジンベエザメの6代目ユウユウは、今年11月に天国の海へ還っていきました。
さて、今回は鹿児島港フェリーターミナルへ直行!
鹿児島港と桜島港を結ぶ「桜島フェリー」は、なんと24時間運航なのです!深夜から未明にかけては1時間に1便、日中は10~15分間隔で運航されています。
運賃はなんと、大人160円、子ども80円!市バスよりも安い!鹿児島の皆さんにとっては、「市民の足」なのですね。ちなみに運賃の支払いは、基本的に桜島港で行います。
今回、お世話になった「第五櫻島丸」。
沖に出ると写真撮影に忙しいと思われるので、出港待ちの間に腹ごしらえします。
じゃん!桜島フェリー名物、「かきあげうどん」!(550円)
こちら、「嵐にしやがれ」で長渕剛さんも絶賛されていたうどんです。鹿児島出身の柏木由紀ちゃん(AKB48)も、「郷土の味」として新聞に紹介したことがあるそうです。
ちなみに、「しやがれ」では相葉ちゃんが月見うどんを食べていたのですが、ワタシは半熟玉子が少し苦手なので、かき揚げにしました。
カツオのおだしがよくきいたスープと、のどごしの良いうどん!この日は風が冷たい日でしたので、とても身体が温まりました。
はふはふ言いながらうどんを勢いよくかき込むと(←こういうのは思いっきり食べ切っちゃうのが良いのですよね~☆)、いよいよ出港~!!
ここからしばらく、ほとんど変わり映えしないアングルの写真が続きます(笑)。
いよいよ、桜島に向かって行きます~!
近づいてきました~!
右手に見える白い船舶は、同じく桜島フェリーの定期便。
桜島フェリーには、定期便の他にも遊覧クルーズなどがあるそうです。周辺の小島をめぐるクルーズとか、霧島方面まで航路を延ばしたクルーズですとか。
乗船時間は、約15分。
桜島に近づくほどに、山頂部分はどんどん手前の丘陵に隠れていきます。
それにしても、なんというダイナミックで猛々しい山肌なのでしょう…。あらためて、桜島が火山であることを実感させられます。
桜島港の構内に入ると、さらに隠れていって…
接岸する時には、すっかり手前の丘に隠れて見えなくなってしまいました。
じゃん!桜島側の玄関、桜島港フェリーターミナルです。
ここから観光が始まる…はずなのですが…私はここでとんぼ返り。
なんと、たった今乗ってきた「第五櫻島丸」に再び乗って、鹿児島港へ戻ったのでした(笑)。
同じ船で島を往復する人は流石に珍しいようで、運賃を支払う時に、職員さんに「え?この人、さっき下船して来なかった?」みたいな顔をされました(笑)。
本当はもうちょっと桜島を探検してみたかったけど!温泉にも行きたかったけど!いいの、今回の目的は「桜島の土を踏む」だったので!(←と、自分に言い聞かせている)
厚い雲の隙間から顔をのぞかせる太陽の光は、力強く鹿児島の街と海を照らし出します。
色々と妄想想像力をかき立てられるシチュエーションのシルエット…
ですが、実は、作業着姿のおじさま達がお仕事の会話を交わしていらっしゃるところです(笑)。
桜島へ向かう時には晴れ渡っていた空ですが、戻る時にはこんな風に厚い雲が空を覆い始めていました。
今年は、火山災害も多い1年でした。被害に遭われた皆様に心からお見舞いします。私は南日本新聞社による「桜島降灰速報メール」(詳しくはコチラへ)に登録しているので、桜島が噴火するたびにメールが届くのですが、この2~3年は特に、噴火の回数が多くなってきたように感じます。
気にしすぎる事なく、気に掛けていきながら、自然と寄り添い、共に生きていく。とても難しいことですが、桜島とともに暮らす鹿児島の人たちは昔からされてきた事。その事がどれだけ大切なことか、鹿児島を訪れるたびに実感させられます。
悠大な空と果てしない海の間にどっかりと鎮座する桜島の姿は、力強さと美しさをたたえています。
桜島の風に吹かれながら(容赦なく吹きつける火山灰に目をやられながら)、心が澄み切った気持ちに満たされ、次の旅へ向かうパワーをもらったプチトリップでした。
かけ流しの温泉が最高です!