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OSK日本歌劇団 『レビュー 夏のおどり』 第1部 感想 [OSK]

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2014年8月2日(土) 新橋演舞場 16:00開演

大阪を本拠地に活動するOSK日本歌劇団によるレビュー。トップスター・桜花昇ぼるのサヨナラ公演でした。

和物と洋物のレビュー二本立ては、めまぐるしく変化する多彩なステージ。息つく間もないほどのスピード感とテンポで、眼がいくつあっても足りない!と思うほど。ああ、出来ればもう1度だけでも観たかった…。

公演からだいぶ経ってしまってもはや記憶もうろ覚えなのですが、一言二言、感想を書き留めておきます。


1部 桜花抄
作・演出/花柳壽楽


第1景 桜会(さくらえ)の章(プロローグ)
音楽/松岳一輝
振付/西川箕乃助

桜花の名を冠した和物レビュー。幕開きは、出雲阿国と名古屋山三の二役で登場!その圧倒的な存在感と華やかさは、さすが「OSKの太陽」と賞されただけのことはあります。長身に阿国の装束がよく似合っていました。

桜花が阿国(女役)として舞う時には、朝香櫻子・牧名ことりのトップ娘役が、名古屋山三に早替わりして再登場するときには高世麻央・桐生麻耶(きりゅう あさや)の主役級男役スターががっちりと脇を固めます。その安定感がOSKならでは。難にストレスもなく安心して観られるというのは、良いことですよね。

テーマ曲は、「あした輝く」。作曲した松岳一輝さんと言う方は、電気的祝祭楽団 OTO-DAMAというユニットに所属されているのだとか。和物レビューというイメージを良い意味で覆す、いわば「純邦楽ポップス」という感じの曲。ノリの良い歌謡曲みたいで、パッと新橋の舞台が明るくなります。歌詞は桜花の卒業を意識したものになっているのですが、しんみりと切なくならず、カラッと明るく、爽やかな楽曲。誰もが笑顔になれる一曲です。


第2景 夢見草の章
音楽/松岳一輝
振付/花柳寿楽

『源氏物語』をモチーフとした場面。黒い紗幕の向こう、まずは若き日の光源氏(高世麻央)と頭中将(桐生麻耶)の姿が浮かび上がります。2人が舞うのは、雅楽「青海波(せいがいは)」をベースにした舞。

『源氏物語』前半のハイライトとも言える青海波の場面の再現。静謐で格調高いメロディーは、熱気あふれるプロローグの余韻と興奮を鎮めるには最適です。作曲は、前景に続いて松岳一輝。

高世と桐生の二人舞は息もピタリと合っていて、本当に美しい~!OSKと言えば、和物・洋物関係なく振りがとても機敏なイメージがあるのですが、ここはたっぷりと舞を見せてくれました。

そして光源氏(桜花)が登場。彼が出逢い、関わった女たち(朝香、牧名、折原有佐、恋羽みう、白藤麗華)が浮かび上がります。

緋の長袴にたっぷりと襲(かさね)のある袿(うちぎ)を優雅にさばきながら、光源氏と絡む女性たちのたおやかで美しいこと。勿論、その中央に立つ桜花は、まさに「光る君」の名を思い起こさせるに相応しい美男子ぶりです。

やがて、白鳥となり、旅立つ源氏。真っ白な装束に早替わりした桜花は、透明な輝きに包まれていました。


第3景 浪速の花見の章-寿盗音符-
音楽/松岳一輝
振付/山村友五郎

「鼠小僧」をモチーフにしたコミカルな場面。江戸を疾走する鼠小僧(真麻里都)を、銭形平次(桜花)が追いかける様子を、盆セリを駆使してスピーディーに場面転換しながら見せていきます。

大阪を本拠地にするOSKだけに、松竹座『春のおどり』では、舞台は大坂の町だったとか。今回は江戸が舞台になり、歌に入っていた「大坂~ミナミ」という歌詞は「東京~ギンザ」に変更されていましたが、それでも平次さんは大阪弁でした(笑)。

ここは、上述したように、盆セリを使った演出が秀逸!鼠小僧と岡っ引きたちが舞台を所狭しと駆け回って追走劇を繰り広げるのですが、この場面の間、盆セリはずーっと一定のスピードで回転しています。盆セリ上には江戸の商家が立ち並ぶセットと下町の路地のセットが背中合わせになるように設置されています。

そして、セットが舞台正面に来るたびに、そのお店の中かた素浪人(高世)と追っかけ女子や、後家(朝香)、大店の丁稚(桐生)や女方(悠浦あやと)と役者など、スターたちがにぎやかに登場して華と彩りを添えるのです。ぐーんと回る盆セリに、次は誰が登場するのかと、凄くワクワクしました。

素浪人の高世さんが、めちゃくちゃ色っぽくて素敵~!思わず客席から身を乗り出して、ついていきそうになっちゃいました(笑)。

桜花さん@平次も大奮闘!鼠小僧を追いかけて、舞台~花道~客席を走り回り、なぜか大縄飛び(しかもダブルダッチw)にまで参加して、ついには2階客席に登場!まさか2階まで来て下さるとは思わなかったので、客席は大興奮!

私は2階最前列で観劇していたのですが、なんとすぐ近くまで来て下さいました!鼠小僧を追いかけている体で、「鼠小僧、知りまへんか?あ、えろうすんまんへん、すんまへん」と、汗だくでも笑顔は絶やさずお客さんに声をかける桜花さん、とってもキュートでした!

そして、盆セリが回転する上でも、小気味の良い踊りを見せるOSKの皆さん。バランスをとるのも難しいので、キレッキレ動きで、流石でした!


第4景 桜扇の章

音楽/松岳一輝
振付/花柳寿楽

袴姿の若衆5名による、連れ舞。桜花は金地の扇を、それ以外の出演者(高世、桐生、楊琳、悠浦)は銀地の扇を使って舞います。突き抜けて陽気で明るい前景からはガラリと空気が一変して、端正で格調高く、型をきちんととらえた美しい舞の場面。

やがて、桜花が高世に金地の扇を手渡します。旅立つ者から、見送る者へ。ハッとした顔で見上げる高世に、桜花が力強く微笑します。その2人の横顔が心に残りました。

高世と扇を交換した後、花道を去っていく桜花。その背中に流れるのは、「桜のボレロ」です。


第5景 桜吹雪の章(フィナーレ)
音楽/松岳一輝
振付/山村若有子

OSKのテーマソング「桜咲く国」をボレロ調にアレンジした「桜のボレロ」に乗って桜花が花道を去ると、そのまま音楽は途切れることなくフィナーレへ。

桜吹雪の中の群舞。フォーメーションが凄く綺麗!そして上級生から下級生にいたるまで、踊りが揃っています!壮観!!

入れ替わり立ち替わりスターが登場して、その場面ごとに演出がきちんとされているので見応えもあって、何度も言いますけれども、目がいくつあっても足りない!この「桜のボレロ」を観るためだけに通っても良い!と思えるほど。

場を任されるスターたちは、若手であれベテランであれ、華だけでなく実力がちゃんと備わっていて、「その瞬間、シンになるに相応しい」と納得できる方たちばかり。ですから何の気兼ねもなく、舞台に集中できるのです。

そして、桜花が登場!高世・桐生も揃い、クライマックスへ。舞台と客席の高揚感が最高潮に達して、何とも言えない感動におそわれます。やっぱり、OSKの和物レビューは見応えがたくさんあって、構成がしっかりしていて、素晴らしい!


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