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「法隆寺展―聖徳太子と平和への祈り―」@静岡市美術館 [展覧会]

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静岡市美術館
2014年6月14日(土)~7月27日(日)
公式サイト:
http://shizubi.jp/exhibition/future_140614.php


旅の途中、少し時間ができたので、静岡市美術館で開催中の「法隆寺展―聖徳太子と平和への祈り―」を見てきました。

関西出身ながら、奈良は実家からの交通アクセスがあまり良くなくて、「近くて遠い街」というイメージがあります。なので、実は法隆寺には今まで行ったことがないのです…。

今回、たまたま静岡に旅している時にこの展示会のことを知り、「これはナイスタイミング!」とばかりにやってまいりました。


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静岡市美術館は、JR静岡駅から国道1号線をはさんで向かいに立つ「葵タワー」の3階という、抜群の立地にあります。

静岡駅北口からは徒歩で5分足らずというアクセス。またタワー内には美術館のある3階への直行エレベーターもあるので、スムーズに来場することができました。上の写真は、エレベーターから出てすぐ目に入る標示です。

さて、今回の展覧会は、国宝「夢違観音(ゆめちがいかんのん)」など白鳳時代に生みだされた仏像や聖徳太子信仰などを通し、聖徳太子が目指した「和」の精神をたどるというもの。

会場は第一章~第三章に分かれており、第一章は白鳳期に生まれた仏像、第二章は聖徳太子信仰にまつわる書画、第三章は法隆寺と徳川家のつながりについて、ゆかりのある品々が展示されています。

法隆寺と徳川家には強い結びつきがあったなんて、初めて知りました。説明によると、徳川家康は1614年の大阪冬の陣へ出陣の折、戦勝祈願のため法隆寺に立ち寄ったのだそうです。その後、法隆寺は江戸幕府の庇護を受けていたのだとか。こちらでは徳川家康が法隆寺に奉納した剣や書などが展示されていました。


第一章「夢違観音と白鳳のほほえみ」では、白鳳時代に誕生した仏像の数々が私たちを迎え入れてくれます。


鶴林寺観音立像.jpg
重要文化財 観音菩薩立像(かんのんぼさつりゅうぞう)
飛鳥時代(7世紀) 
兵庫・鶴林寺蔵

伸びやかな肢体、艶めかしさすら感じる細い腰、ちょっといたずらっぽい、爽やかな微笑を浮かべるお顔。

この観音さまにはちょっと不思議でおかしな伝説があります。

その昔、ある盗賊が寺に忍び込み、こちらの観音さまを盗み出そうとしました。その時、金槌で観音さまの腰を叩いたところ、この観音さまが「アイタタ!」と声を上げたのだそうです。驚いた賊は観音さまを置いて立ち去りましたが、そのせいで観音さまの腰は曲がりっぱなしになってしまったのだとか。

な…なんだ…艶めかしく感じたお腰は、そんな由来があったのね…何かスミマセン…orz


深大寺釈迦如来倚像.jpg
重要文化財 釈迦如来倚像(しゃかにょらいいぞう)
飛鳥時代(7世紀)
東京・深大寺蔵

こちらは、おっとりと穏やかな表情の釈迦如来さま。肌の色合いも少し落ち着いた感じだからでしょうか、静謐さと優しさをたえた風情。お顔を拝見しているだけで、何とも言えない安心感に包まれます。


夢違観音.jpg
国宝 観音菩薩立像 夢違観音(かんのんぼさつりゅうぞう ゆめちがいかんのん)
飛鳥時代(7世紀)
奈良・法隆寺蔵

そして、国宝・夢違観音さま。悪い夢を見た時にこの観音さまに祈ると吉夢に変えてくれるとのいわれから、この名で親しまれているそうです。

まろみのある身体。それを包む軽やかな薄絹。シンプルな装身具。そっと胸の前に出された優しい指の動き。ふわっとしたお顔に浮かぶ和やかで柔らかな微笑。そして、全体にまとう、言葉にならぬやわらかさと慈愛の空気。

ふっくらとした肉付きの良い身体や、今にも笑いかけてくださりそうな朗らかな表情に、人間らしさと親近感を覚えます。拝見していると、ふんわりとしした柔らかな空気に心身が包み込まれるようで、心が鎮まり、癒されました。お会いできて、良かったです。


***


この3体は、夢違観音を頂点に、ちょうど三角形を成すように展示されています。しかも、ケースなしで安置されているので、それぞれの個性や身にまとう空気感を、ダイレクトに感じることができます。これはとても有り難く、幸せなことでした。


***


観音様をじっくり拝見したので、第二章、第三章の会場は駆け足で巡ってしまいましたが…。


聖徳太子二王子像.jpg
聖徳太子二王子像(部分) 
幽竹法眼筆 1763年 
奈良・法隆寺蔵
※6/14~7/14展示

聖徳太子像としては、最も有名なデザインではないでしょうか。皇室に献上された「唐本御影(とうほんみえい)」を、江戸時代の画家、幽竹法眼が模写したもの。


聖徳太子絵伝第6幅.jpg
聖徳太子絵伝 第六幅
南北朝時代(14世紀)
大阪・叡福寺蔵
※第六幅は6/14-7/6に展示

聖徳太子絵伝とは、太子信仰の普及のため、太子の一生とその功績を絵で紹介したもの。この一幅には、太子が27歳の時に黒駒に乗って富士山に登ったと伝えられる出来事が描かれています。

また、この会場では、聖徳太子が物部氏との戦いの際に携帯していた守り刀と伝えられる「銅七星剣(どうしちせいけん)」(奈良・法隆寺蔵)、その戦で太子が放ったと伝わる重要文化財「鳴鏑矢(なりかぶらや)」(大阪・四天王寺蔵)と、大変貴重な品も見ることが出来ます。


* * * * *


法隆寺は徳川家と、そして富士山は聖徳太子と、とても深い縁(ゆかり)があったのですね。足を運ぶまでは、「どうして静岡で"法隆寺展"なんだろう…?」と不思議に思っていましたが、すっかり納得です。

当然のことではありますが、知らない歴史や出来事が、日本にはまだまだあるのですね。良い時間を過ごす事ができました。


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