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OSK日本歌劇団 三越劇場公演『That's DANCIN' CRYSTAL Passion』 [OSK]

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2015年9月12日(土) 三越劇場 12:00開演

1年ぶりのOSK東京公演。今年2月に近鉄アート館で上演された『CRYSTAL Passion』が再演されました。別の公演で抜けた楊琳の代わりに、虹架路万が出演。

三越劇場にも、等身大パネルが登場~!近鉄アート館公演のパネルは赤でしたが、今回は青のパネル!爽やかですね~。トップスター・高世麻央サマの透明感とクールなたたずまいが際立ちますわ[ハートたち(複数ハート)](←盲目)。





第1部 「若さま隠密道中 ~若狭之介参上~」
作/土屋光
演出・振付/尾上菊紫郎
振付/藤咲みどり
歌唱指導/立木直子
振付助手/尾上菊方


【あらすじ】

伊勢参りへ旅立つことにした若殿・若狭之介(高世麻央)。家臣である橋本佐内(真麻里都)を同行して出発しようという時に、旅の道連れを願い出てきた女性、お通(恋羽みう)。お通の案内で、とある宿に入る若狭之介ですが、実はそこの宿とお通は盗賊「からす組」の仲間で、若狭之介の路銀を狙っていたのでした。隠密のお峰(白藤麗華)と佐内の働きにより窮地を脱した若狭之介は、盗賊一派と対決。その強さと心意気に感じ入った盗賊の頭(桐生麻耶)は若狭之介の共になることにし、一行は春爛漫のお伊勢参りを楽しむのでした。


【カンゲキレポ】

伊勢参りへ旅立つ若殿さま、若狭之介(高世麻央)の珍道中(笑)を描いた舞踊時代劇。肩の力を抜いておはなしを楽しみつつ、OSKの真骨頂のひとつ、完成度の高い日舞ショーを堪能することができます。

「梅は咲いたか」や「河内音頭」、「元老花見踊り」など、なじみのある曲が存分に使われていて、それも良かったですね。『白鳥の湖』や『白浪五人男』など、西洋クラシックや歌舞伎の舞台のパロディも取り入れているのですが、劇団員ひとりひとりの舞踊(バレエ、日舞ともに)の素養がしっかり身についているからでしょう、奇抜な演出に映らず、ちゃんと作品の世界観に馴染んでいたのが素晴らしかったです。

関西を代表する湖、びわ湖のほとりで繰り広げられる『白鳥の湖』では、アドリブタイムも話題に。私が観た回では、その場面の紅一点、お通にまさかのむちゃぶり(笑)。

それまで微笑みながら場面を見守っていた恋羽、まさかの展開に「なんと…本当に急なお話で…[あせあせ(飛び散る汗)]」と焦っていましたが、OSK名物・ラインダンスを模した脚上げを、それはまた上品に披露してくれました。さすが、チェリーガールズ!!(※OSKの娘役ユニット)

もちろん、和物ショーなので、日本舞踊や立ち回りもたっぷりと見せてくれます。45分では短すぎる~!と感じるかも知れませんが、演出をされた尾上先生はシリーズ化したいと意欲をお持ちなので、これからもちょっとずつ楽しめると良いですね。

高世は、幕開きのソロからオーラが素晴らしい!歌もまた本当に上手い!!この方の「男役としての高音」は伸びやかで、本当に綺麗なんですよね。

桐生も縦横無尽の大活躍!『白鳥の湖』から『白浪五人男』まで、この作品の重要なエッセンスは、全て彼が掌握していました。だからこその安定感。またこの方は、特に日本物での立ち姿が本当に美しいです。宿屋の亭主としてすっくと立つ場面なんて、ただ立っているだけの姿に何とも言えない色香を感じて、目が釘付けになりました。

3番手としての地位を確立した真麻里都(まあさ りと)。初演の時はちょっと「被らされている」感のあった青天ですが、三越劇場ではすっかり似合っていました♪ ダンサーとして注目される真麻ですが、立ち回りや日本物の所作も板についてきて、高世と並んでも遜色のない舞台映え。

お通を演じた恋羽(こはね)みうは、初演よりも艶やかさが増していました。高世と共に舞う場面は、しっとりと大人の色香がふわ~っと客席に充満していくようで、素敵でした。

隠密お峰を演じる白藤麗華。個人的に、OSKの若手娘役さんの中でいちばん期待している娘役さんです。彼女はとにかく、何をしても、どんな役をしても、娘役らしい優雅さをちゃんと残しているのです。

今回は隠密ということで、忍(しのび)の扮装をしていてお通とも立ち回りを演じるのですが、ひとつひとつの動きがいかにも忍らしい、猫のようなしなやかさだけでなく、指先まで神経の行き届いた優美さ。本当に惚れ惚れします。

佐内に呼ばれてお峰が初めて登場するシーン。すっと音もなく現れて佐内のそばに跪くと、「はい、佐内様。お峰はいつもお傍に」と言うのですが、その科白を聞くたびに「私が佐内だったら、絶対にお峰に惚れちゃうな~…」と思っていた不届き者はワタクシです(笑)。

和紗くるみと舞美りらの一日の長を感じさせる舞踊の巧さとしっとりとした風情、麗羅リコと千咲えみの赤福売りがめっちゃ可愛かったことも特記しておきます。可愛くて実力のあるOSK娘役たち、バンザイ!





第2部 「I've got Jazz」

作・演出・振付/麻咲梨乃
音楽/竹内一宏
歌唱指導/天羽珠紀
振付助手/祐澄しゅん


ジャズの名曲で紡ぐショー。「ダンスのOSK」を心ゆくまで楽しむことができます。

衣装がシンプルな中に凝っているんですよ~。男役は黒のジャケット&パンツにダービー帽。白いシャツにネクタイとベストを着ているのですが、そのベストとネクタイの柄と色が、メンバーそれぞれに少しずつ違っているんですよ。例えば高世は、ピンク、青、紫の入ったストライプ柄。桐生は黄色や緑の入ったストライプ柄。

娘役は、同じように黒のジャケットに踝丈まである長いフレアパンツ。これがまた、回転したり足を上げたりするたびに綺麗に翻るんですよ~。そして、ボーダー柄のベストとカラー(襟)。娘役の場合は、このベストとカラーが、ひとりひとり異なった色になっているのです。

そうそう、男役はストライプ(縦縞)、娘役はボーダー(横縞)というのも、密かなこだわりっぽくて素敵です。ンプルなんだけど、お洒落で機能的で、そして示唆に富んだ衣装。

第1景[Openning]では、主題歌「I've got Jazz」に乗って、高世を中心とした総群舞。ステッキの扱いも軽やかでみんな揃っていて、始まりからしてワクワクします!

第2景[Gem of jazz]では「S' Wonderful」「Take the A train」I've got plenty o'nuttin'」「Bye bye blackbird」「My funny valentine」「Strike up the band」など、ジャズの名曲をふんだんに使いながら、様々なフォーメーションでのダンスを見せてくれます。

どの場面もお洒落で素敵なのですが、お気に入りなのは娘役だけで歌い踊る「Bye bye blackbird」。腕のしなり方や身のこなしが鳥のようにしなやかで美しくて、うっとり。

それから、高世の歌に合わせて舞美りらが踊る「My funny valentine」。

ダンサーとして知られる舞美のダンスは躍動感の中にも豊かな情感があって、高世の歌声にリンクするような動き。高世サマの歌声と舞美ちゃんのダンス、いつまでも聴いていたかったし、見ていたかった…。

「Strike up the band」は真麻を中心とした男役のダンス。真麻のダンスのキレの良さに圧倒されます。

真麻のダンスは、やみくもにキレが鋭いだけではなく、文字通り「キレ味」、ちゃんと余韻が残るのが素敵なんですよね。本当に踊ることが好きで、踊ることを大切にしているんだなぁと、観ているこちらが嬉しくなってしまいます。



次の景へとつながる「間奏曲」では、白いシャツに白いパンツというラフな服装に着替えた高世が「NY city serenade」を歌います。この方の「男役の高音」って、何故こんなに心地よいのでしょう…。(←本日2度目)

第3景[Enjoy Jazz]では、お芝居仕立ての場面。高世(ブレイキー、という役名)が経営するバーに、月に一度、友人たちが集まる日、という設定。友人たちが近況を報告する中で、ハッピーな出来事も起きて…というストーリーに乗せて、メンバーが歌や踊りをコミカルに、パワフルに披露します。

この場面でも、「Route 66」 「Tea for two」「Bei mir bist du Shein」「Lover come back to me」「Moon river」「Fly me to the moon」「Stardust」と、ジャズの名曲が目白押し!

登場するメンバーは、オープニングのスタイリッシュな衣装から、全員、白を基調にしたカジュアルな現代風の服装に替わっています。

この場面では、真麻のタップダンスが素晴らしかった!OSK入団前からタップダンスを習っていたらしいのですが、音が全然違う~!澄んでいるいるというか、濁りのない音が綺麗に出せるんですね。

そしてやはり、桐生の芸達者ぶりとコメディアンぶりには笑わせてもらいました。高世いわく「パートナーがいなくなった」桐生、「Lover come back to me」を歌いながら嘆くのですが、実は、そのパートナーというのが、インコという…(笑)。でも、そんな話の中でも、高世と桐生の信頼感のようなものが表現されているなぁと感じました。

そうそう、トホホ…な恋の顛末を歌う真麻・虹架路万・愛瀬光や、出逢いがないのを嘆く女性陣に対して、ほかのメンバーが声をそろえて「お気の毒!」と言うシーンがあるのですが、そのたびに「べ、ベルガ様…!!(;゚Д゚)ガクブル」と密かに震えていたのはワタクシです(笑)。

※ベルガ様…2014年公演『カルディアの鷹』にて、白藤麗華が演じた悪女役。自身が絶体絶命の危機に陥れた相手に向かって、「…お気の毒。」と言い放つ場面に、全観客が戦慄したと言われている(と思う)。

麻咲先生の作品でいつも感心するのは、振付もさることながら、キャスティングの妙。

上級生と下級生、近鉄世代(高世&桐生)とNew!OSK世代(真麻以下)の配役と出番の使い分けが、とてもさりげなく、それでいて絶妙なバランスなのです。出演者に対する深いリスペクトと愛情を感じます。

この場面は、コミカルながらも、ひとりひとりのハッピー、ひとりひとりの夢に向かってこれからも毎日を進んでいく…高世を中心として、劇団員ひとりひとりが夢と志をもって進んでいこう、という、今のOSKを感じさせるようで、最後は胸いっぱいに温かいものがあふれるようでした。



第4景[In love with jazz]では、オープニングの黒を基調とした衣装へ。オープニングと一緒かな…と思いきや、男役はベストを脱いで黒いシャツにそれぞれのカラーのネクタイを、女性は黒のビスチェにそれぞれのカラー(襟)を首につけた、少しクール&セクシーに変身!

さりげないながらも小技の効いた衣装の変化を発見するだけで、興奮してしまいます(≧▽≦)。また、黒→白→黒と、衣装の色彩を変えるだけで場面にメリハリが利いていました。

「I don't mean a thing」に乗りながら、OSKの真骨頂とも言えるスピーディーかつ一糸乱れぬ完璧な総群舞!!

テンポもリズムもどんどん速くなっていくのに、まったく乱れない群舞。舞台も客席も一体となって高揚感が増していき、決まった時の爽快感といったら!とても気持ち良かったです。

この場面の高世サマが、超絶ステキでね~!(≧▽≦)

テンポとリズムが速まっていく中、振りもどんどん速くなっていくのですが、涼しい顔で踊りこなしていくのですが、そのクライマックスで、一瞬だけ、口角を少し上げて、すごくクールな微笑みを見せるのですよ!それが超、超カッコイイの!!(←この表現力のなさ)



第5景[Ending]では、再び主題歌「I've got jazz]に乗ってのパレード。前景の高揚感が残ったままのフィナーレで、観客も大満足で手拍子を送ります。

アンコールでは、もちろん、桜パラソルでの「桜咲く国」。前奏が流れると無条件にワクワクしてしまう自分がいます(笑)。




今年は1度だけになってしまいそうなOSKの東京公演ですが、心の底から大満足できるステージでした。
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コメント 6

ラブ

時代劇なんですね。OSKは、観たことないなぁ…。

この前、歌舞伎座行って来ました。初めてでしたが感激。
やっぱりベテランの演技力はすごいですね。
10/21に記事にします(先の話w)。
by ラブ (2015-10-03 11:02) 

夜野愉美

あもたまさまとしゅん様がこんなお仕事をなさっているのですね。
私はNewになってからは、全然見る機会がないOSKですが、再び興味がわいてまいりました。
by 夜野愉美 (2015-10-03 21:02) 

★とろりん★

ラブさま

nice!とコメント、ありがとうございます。

OSK、大阪の中心部で公演していますので、ぜひとも
足をお運びください。11月には南座公演もあります。

おお!初・歌舞伎座潜入、おめでとうございます!
やっぱり最初にあの入口の前に立った時は、感激しますよね。
記事をお待ちしています~♪
by ★とろりん★ (2015-10-05 12:56) 

★とろりん★

夜野さま

nice!とコメント、ありがとうございます。

最近は宝塚OGや元関係者の方がスタッフに名を連ねるのをよく見かけます。
6月の松竹座、11月の南座公演は、荻田浩一先生が
洋物ショーの演出を手がけられていますよ~。
機会があれば、ぜひぜひ☆
by ★とろりん★ (2015-10-05 12:58) 

えりあ

とろりん様

この公演、初演と先斗町を見たのですが、先斗町のほうは感想をかけていませんでした。が、こちらを拝読して「これこれ!」と思いました。もう私書くことないです。このショーのダンスは本当にすばらしかった。
お芝居は、「続く」という感じで、次回を期待してますが、いつになるやら(笑)。

次の南座もぜひお越しください。道頓堀が京都バージョンになるらしいです。私ももちろん行きます!荻田先生は変わらないようですが、それでいい。それを見たい!です。

by えりあ (2015-10-18 20:41) 

★とろりん★

えりあさま

nice!とコメント、ありがとうございます。

ショーは本当に素敵でしたよね!DVDが販売されないのが、本当に本当に残念です。お芝居は本当に「続く」のか、というのが目下の疑問ではありますが(笑)、気長に続編を待つことにいたしましょう…。

11月の南座…行きたいところですが…えーん(´;ω;`)。もう、今からえりあさまのレポを心待ちにしております!(プレッシャーかけてスミマセン)
by ★とろりん★ (2015-10-18 22:32) 

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