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歌舞伎座 八月納涼歌舞伎 第三部 [歌舞伎]

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たとえ値上げしたとしても…美味いものは美味い…!(←今回もしっかりいただきました♪)

2014年8月16日(土) 歌舞伎座 18:15開演

K友さん(KはKABUKIのK)からお声がけいただき、納涼歌舞伎を見物してまいりました~(いつもありがとうございます☆)。納涼歌舞伎は初めてじゃないかな?とっても楽しかったです!


勢獅子
(きおいじし) 常磐津連中

鳶頭/坂東三津五郎
鳶頭/中村橋之助
鳶頭/中村獅童
芸者/中村七之助
手古舞/坂東新悟
鳶の者/中村国生
手古舞/中村鶴松
鳶の者/中村虎之助
手古舞/中村児太郎
鳶頭/坂東巳之助
鳶頭/中村勘九郎
鳶頭/坂東彌十郎
芸者/中村扇雀

私にとっては、病気療養から復活なさった三津五郎丈を久しぶりに拝見できる舞台。

いや~もう、花道から三津五郎丈から登場なさっただけで、思わず目頭が熱くなってひとりでぐすんぐすん言っていたのは私です(笑)。ひとり、扇子の扱い方からしてもう違う!大和屋!!

オペラグラス越しですが、登場された時にちょっと白粉のノリが良くないような、お顔の色がすぐれないような気がして、お疲れかな…暑さのせいかな…と一瞬心配したのですが、舞踊も相変わらずの滑らかさ!足のさばきも美しくて、腰が決まっていて、やはり素晴らしい!一本締めも参加させていただき、感無量です!

ご祭礼を祝って、鳶の者や芸者さん、手古舞が交互に踊るのですが、三津五郎=巳之助、扇雀=虎之介、橋之助=国生(児太郎)、彌十郎=新悟、勘九郎=七之助(鶴松←一門)と、親子や身内同士の共演もあって、彼らがずらりと並んでいる舞台を眺めているだけでも、何だかウハウハします(笑)。

いちばん印象に残ったのは、勘九郎と巳之助による獅子舞!やっぱり勘九郎は踊りが巧い~!!獅子の足さえも軽やかで楽しそう!

巳之助は、床几に座っている段階からすでにイケメンで、釘付け(笑)。さすが、「抗いきれない色気」を持つ父にしてこの息子あり…!!(出典はコチラ


訪米歌舞伎凱旋記念
三世實川延若より直伝されたる
十八世勘三郎より習い覚えし
怪談乳房榎
(かいだんちぶさのえのき) 中村勘九郎三役早替わりにて相勤め申し候

菱川重信・下男正助・うわばみ三次・三遊亭圓朝/中村勘九郎
重信妻 お関/中村七之助
茶店の女 お菊/中村小山三
松井三郎・住職雲海/市川亀蔵
磯貝浪江/中村獅童


【あらすじ】

菱川重信(勘九郎)はもともと武家の出身でしたが、得意の絵の才能を認められ、当代随一の人気絵師として活躍しています。美しい妻・お関(七之助)と愛児・真与太郎にも恵まれて、充実した日々を送っていたのですが、ある日、浪人の磯貝浪江(獅童)がお関に一目ぼれしたことから、不穏な方向へと動き始めます。

お関に横恋慕した磯貝は、重信が泊まり込みで寺の天井画を描く仕事をしている最中、お関を脅迫して我が物にしてしまいます。そして菱川家の下男・正助(勘九郎)をも脅し、重信を殺害してしまうのでした。しかし絵師としての執念から、重信は亡霊となって現れ、見事に天井画を完成させるのでした。

お関を手に入れた磯貝は、今度は真与太郎の存在が疎ましくなり、再び正助を使って殺害しようと考えます。江戸から離れた場所にある滝壺に真与太郎を投げ捨てて来いと命ぜられ、悄然としながら真与太郎抱いて屋敷を出る正助。その後、浪江は旧知の仲であるうわばみの三次(勘九郎)に、真与太郎ともども正助を殺すように命じます。

言われた通りに滝壺へやってきた正助は散々に迷ったあげく、赤子を投げ込みますが、重信の亡霊がそれを引き止めます。改心し、真与太郎と共に逃げ出すことを決心した正助。そこへうわばみの三次が追いついて、滝壺の中で激しい小競り合いとなります。

一命を取り留めた正助は真与太郎とともにとある寺院に逃げ隠れます。その寺院の境内には榎の木があり、そのこぶから滴る液体を母乳代わりにして真与太郎は育ちます。やがて5歳になった真与太郎は、正助とともに浪江を討ち取り、見事に父の仇を討ち果たすのでした。

【カンゲキレポ】

『怪談乳房榎』は、歌舞伎では初見ですが、7年前に国立演芸場中席で聞い桂歌丸師匠の高座で聞いたことがあります。それはそれはもう、絶品でね……(その時の記事はコチラから)。その時のことを思い出しながらの見物となりました。

7月の訪米歌舞伎で上演された作品をそのまま上演しているようです。幕前のアドリブも英語が飛び出して、外国人のお客様は大喜びされていました。

ただ、大詰前の幕前の芝居で、最前列の観客にビニールシートを使う方法を英語で説明して、練習してみる場面があったのですが、思っていた以上に時間をかけていて、そこはちょっと飽きてしまったかな。だって、最前列以外のお客様には関係がない話なので…(←不熱心な客ですみません)(←その場の空気を楽しもうぜ!みたいな協調性がなくてすみません)。

落語の『乳房榎』では、お関(落語では"おきせ")と正助(同"正介")が、浪江に脅迫されて許し難い理不尽な要求を受け入れるまでの心理的描写が非常に丁寧に緻密に描かれています。

歌舞伎の『乳房榎』は、一大スペクタクル!早替わりあり、本水ありの、ダイナミックな舞台でした。

とにかく、勘九郎の三役早替わりが凄かった~!!文字通り、大奮闘。コンマ秒数を争うレベルの早替わりの連続で、最後の方はもう、何が何だか(笑)。ちなみに、圓朝役はカウントに入れないようです。

中でも、これは凄い!と思ったのは、茶屋での場面の早替わり。とある茶屋で正助と待ち合わせていた浪江は、偶然にうわばみ三次と出会います。首尾良く浪江から金を巻き上げた三次が階下へ降りると同時に、すれ違うようにして正助が階段を上がってくるという趣向。

舞台に穴が開けられて下へとつながる階段が作られているのですが、三次は顔だけを残して、「おう、お前さんが正助かい」などと階下に向かって話しかけたり、お互いによけようとして同じ側へ寄ってしまったり、という小芝居をちょっとだけして、三次が階下へ姿を消したと思った次の瞬間、正助がとっとっと、と階段を上がってくるのですよ!これ、勘九郎がひとりで演じ分けているんですよ!

着物はもちろん、鬘も変えているのです。衣裳や鬘にいろいろ工夫がほどこされているのでしょうが、それでもあの瞬速の早替わりは凄い!

もちろん、本水の場面もダイナミックでワイルドです!勘九郎、大量の水が流れ落ちる滝の中で、正助と三次を交互に早替わりしながら立ち廻りを演じるのです!こちらもすごい迫力で、目が離せませんでした!そしてあまりの早替わりのペースに、目が回りそうになりました(笑)。

それにしても…勘九郎ちゃん、本当にお父さんに似てきたなぁ…(しみじみ)。千秋楽まで、大きなアクシデントなく勤め上げて欲しいですね。

お関を演じた七之助は、それはまぁ美貌の人妻っぷり!楚々とした立ち居振る舞いの中にも隠しきれない艶のようなものを感じさせて、あれじゃ浪江じゃなくても一目惚れしちゃう!!


* * * * *


終演は21:25と、ふだんよりもちょっと遅めでしたが、真夏の夜にふさわしい、にぎやかでちょっとヒヤッとして、そして興奮の絶えない舞台でした。あ~、やっぱり歌舞伎は良いなぁ~!!(←定期的に言ってるw)

歌舞伎座の公演情報は、現時点で11月まで発表されています。この後も息をつかせぬほど、注目の大顔合わせが続きますね!華やかですね~。

目下の大注目はやはり、11月の顔見世夜の部でしょう。『勧進帳』の配役を見た瞬間、全ての歌舞伎ファンが、二度見したか、目をこすったか、一瞬時間が止まったか、頭の中が真っ白になったか、このうちどれかを体験したはずです(笑)。いやもう、想像するだけで震えが止まりません…!

詳しくはコチラから→歌舞伎美人 公演情報


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コメント 2

カオリ

やっぱり今年の納涼歌舞伎は第3部がいちばん見応えあったみたいですね。三津五郎丈、お元気になられてほんとうによかった。。。
そして知らない間に勘九郎丈の中村座のNY公演が行われていたみたいで・・・こちらもまたまた感無量。
そしてっ、11月の勧進帳。とろりんさんのリンクからサイトを見に行って、まさに一瞬頭の中真っ白でした。何が起こったのかしら〜。でもこの機会を逃すと、この顔合わせ二度と見られないかも。そろそろ歌舞伎座復帰かしらと思った瞬間でした。
by カオリ (2014-08-30 10:42) 

★とろりん★

カオリさま

nice!とコメント、ありがとうございます。

納涼歌舞伎は第三部だけの観劇でしたが、本当に見応えありましたよ~。NY公演、私も知りませんでした…。

そして11月の勧進帳!!凄すぎますよね!!歌舞伎座にも既にチラシやポスターがあったのですが、目にした皆さんが絶句されていました(笑)。カオリさまの歌舞伎復帰に、これ以上相応しい番組がありましょうか、否!!(←反語)
by ★とろりん★ (2014-08-31 19:33) 

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